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『東北・全国大会を経験して』
秋田市立城南中学校 野球部監督  船木正志



〇 全県大会制覇
 桜中との秋田市対決となった全県大会決勝を1-0で制し、34年ぶりの全県優勝、東北大会出場を決めました。 コロナ禍の影響で、今年に入ってからも1~3月は部活動の練習ができない状態が続きました。 4月に入り、活動が再開されましたが、秋田市の学校との練習試合、大会が中心で、 市外の学校と試合ができたのは5月に入ってからでした。そのような状況からも全県大会前は不安要素が大きかったですが、 選手たちは試合を重ねるたびに成長し、厳しい試合を乗り越えて頂点に立つことができました。

〇 東北大会へ
 迎えた東北大会。全県大会終了から約1週間という短い準備期間でした。選手たちにとって県外チームとの対戦、 県外への遠征、人工芝球場での試合・・・どれも初めての体験でした。それに加え、 雨が続く天気、コロナ感染防止のための体調管理など気を遣うことも多々ありました。 それでも無事に会場である宮城県に向かうことができました。
 初戦は宮城第2代表の北角田中学校との対戦でした。 バッテリーを中心に最少失点に抑えて勝つというチームスタイルでしたが、 初回に相手の投手が波に乗る前に得点することができたことが大きかったです。 中盤以降は相手投手の巧みな投球に得点することができず追加点が奪えませんでした。 それでも相手打線を0点に抑え3-0で勝つことができました。相手投手はとても速いという球速ではないものの、 変化球を織り交ぜながらコースを上手くついてくる素晴らしい投手でした
 同日の午後から行われた準決勝では福島第2代表の浅川中学校との対戦でした。 2人の投手の2枚看板で勝ち上がってきた城南中と同じようなスタイルのチームでした。 この試合でも初回に先制点を奪い、主導権を握ることができました。 全県大会からチームとして意識してきた先制して勢いに乗っていくというチームの形が東北大会でもできたなと感じました。 しかし、1点取った後のサインミスが響き、追加点を奪うことができませんでした。 その後、相手投手もリズムに乗り、互いに得点を許さず投手戦となりました。 1-0で迎えた7回表、相手打線に初ヒットを許すと、連打で1-2と逆転を許してしまいます。 その裏、城南中もチャンスを作りますが、バントミスなどで生かせず、そのまま逆転負けを喫しました。 やはり初回に1点しか取れなかったことが敗戦に影響を与えたと感じています。
 東北大会ではサインミスやバントミスなどの細かいミスが許されないこと痛感しました。 また、城南中の菅原煌投手が6回まで相手打線をノーヒットに抑えるピッチングをしていただけに このまま最後まで行けるのではないかと感じる部分もありました。しかし、そこはさすがの東北大会。 相手の集中力や最後まであきらめない姿勢を感じました。全県大会から接戦やピンチを招く場面が多々ありましたが、 最後は乗り切って勝つことが続いていただけに、この敗戦はショックを隠しきれませんでした。 チームも元気がない雰囲気となりましたが、まだ、「翌日の代表決定戦で勝てば全国に行ける」 という声をかけて気持ちをリセットさせようと思いました。

〇 代表決定戦
 代表決定戦は会場を仙台市民球場に移し、青森第1代表の五所川原第三中学校との対戦でした。 エースの下山投手が好投し、堅い守りで失点を許さず勝ち上がってきたチームなので、 どう攻略して点数を取るかが課題でした。しかし、2回に連打でチャンスを作り、タイムリーで先制しました。 前日のこともあるので、さらに点数を加えたかったのですが、下山投手が立ち直り、追加点を奪えないまま回が進みました。 また同じような展開にチームとしても嫌な雰囲気を感じだした6回にスクイズで同点にされてしまいます。
 試合はそのまま7回を終え、タイブレークに突入します。 タイブレーク初回の8回は互いにランナーを進められず0点に終わりますが、9回に2点を先制されてしまいます。 その裏、城南中は2アウト2,3塁と後がない状況に追い込まれますが伊藤塁翔選手のタイムリーが出て土壇場で試合を振り出しに戻しました。 伊藤は、日々の打撃練習時から逆方向への打撃を意識して取り組んできたため、その成果が表れたとうれしく感じました。 その後、サヨナラ犠飛で試合を決め、城南中としては初の全国大会出場となりました。 また、練習試合、大会等を通して初めてのタイブレークでしたが、選手たちの粘り強さに驚きを感じ、 東北の有力校とも互角に戦えることを証明できた東北大会となりました。

〇 いざ全国大会
 自身にとっても初めての全国大会は分からないことだらけでした。 事前の提出物の多さから始まり、現地入りしてからの公開練習、希望練習、監督会議など、どれも規模が大きく、 さすが全国大会だと感じることばかりでした。
 初戦は北信越(石川県)代表の清泉中学校との対戦。 相手チームについていろいろと調べましたがほとんど情報を得ることができず、まずはこれまでやってきた城南中のスタイルを崩さず、 戦っていこうと話し、試合に臨みました。攻守決定では、いつも通り後攻をとることができ、 初回を無失点に抑えて先に得点を取るという形にもっていくことが目標です。先発はエースの堀野諒投手。 初回のツーアウトまでは簡単にとったものの、そこから四球を与え、盗塁を許し、4番バッターに甘く入った球をレフト前に運ばれ、 先制を許しました。城南もその裏、1死満塁とチャンスを作りますが、後続が倒れて無得点に終わってしまいました。 このような場面で点数を取るためのバッティングや走塁練習を重ねてきましたが、その成果を出すことができ無かったことが痛手でした。
 清泉中は長打こそないものの、甘い球を確実にとらえ、少ないチャンスを生かして得点につなげていきました。 また、三振しないチームという印象が強かったです。ボール球には手を出さず、追い込まれても粘り強く、 全県や東北で打ちとってきたようにはいきませんでした。さらに、守備も堅く、こちらのヒット性のあたりも好捕され、 チャンスを生かすことができないまま0-5で敗れました。

〇 経験を活かして
 全国の壁は厚いと感じるとともに、強豪チームに勝っていくためには、攻撃面も守備面もさらにレベルアップしていく必要があると思いました。 しかし、全国大会を経験できたことは非常に大きな財産となり、今後のチームが活動する上での意識に大きな変化を与えたことは間違いありません。 多くの人に支えられ、応援してもらったことに感謝し、来年も全国という舞台に立てるよう、新たなスタートを切りたいと思います。